企画の方法
インタラクティブ映像の企画は分岐ツリーから始めない
プレイヤーの立場、選択の代償、検証できる範囲を決めてから、人物・章・ノード脚本へ。七つの工程で企画の軸を保ちます。
インタラクティブ映像の企画で陥りやすいのは、物語を思いつくとすぐに巨大な分岐ツリーを描くことです。道筋は増えて「インタラクティブ」に見えても、プレイヤーは誰で、なぜ選び、その選択が何を変えるのかは未解決のままです。
まず必要なのは、議論し、制作し、検証できる一連の企画です。
ステップ1:プロジェクト概要
プレイヤーは誰を演じ、何を求め、どんな代償を払うのか。この三点を一文で説明します。
主人公の経験だけを説明し、プレイヤーの行動を説明できなければ、それはまだ映像作品のあらすじです。「失意の記者が過去の事件を調べる」は物語の説明ですが、「真相の公表と証人の保護の間で繰り返し判断する」はインタラクションの説明です。
未確認の仮説も明記しましょう。対象ユーザー、配信先、プレイ時間、実写撮影の仕様は仮置きできても、確定事項として扱ってはいけません。
ステップ2:キャラクターと世界
キャラクターは設定カードではなく、利害が衝突する行動主体です。主要人物ごとに、少なくとも次を確認します。
- 何を手に入れようとしているか。
- どんな資源を持っているか。
- 絶対に受け入れないことは何か。
- プレイヤーが助けなければどう行動するか。
最後の問いは特に重要です。人物がプレイヤーを待つだけでなく自ら動くことで、世界に圧力が生まれます。
ステップ3:物語と章
章の計画ではテンポを設計します。まだすべてのボタンを並べる必要はありません。開始状態、中心的な事件、取り消せない変化、終了状態を定めます。章の終わりには、人間関係、資源、公知の情報の少なくとも一つが変わるようにします。
ステップ4:分岐とインタラクション
選択は数えるより、役割で分類する方が有益です。
| 選択の種類 | プレイヤーが判断すること | 残す状態 |
|---|---|---|
| 立場 | 誰を支持するか | 関係と陣営 |
| 資源 | 何を差し出すか | お金、手がかり、時間 |
| リスク | どこまで結果を引き受けるか | 露見、負傷、疑念 |
| 情報 | どの説明を信じるか | 既知の事実と誤認 |
後のフィードバックがない選択は、正式な分岐にする必要はありません。
ステップ5:状態と結末
状態は、それまでの選択が残した証拠です。一つのノードでしか使わない変数を何十個も作るより、複数の章を通じて人物の行動を変える少数の主要な状態を優先します。
結末も善悪の点数だけではありません。何を守り、そのために何を失ったのかを見せることが大切です。
ステップ6:ノード脚本
ここで初めて、ショット、台詞、選択肢、遷移を書きます。まず15〜30分のバーティカルスライスを完成させ、役者の動線、撮影素材の再利用、状態のフィードバック、選択のテンポを確認してから他のノードを広げます。
ステップ7:範囲と検証
理想の企画を現実の条件に戻します。出演者数、ロケーション数、衣装・小道具の差、撮り直しの割合、編集作業量を管理できるでしょうか。
最初のテストで市場全体の成立を証明する必要はありません。役割が伝わるか、選択の代償を気にするか、別の道を探したくなるかなど、今もっとも危険な問いに答えればよいのです。
より確かな出発点
この七工程はウォーターフォールではありません。前提が崩れたら、どの段階からでも戻って修正できます。展開する根拠を持ち、「アイデアが多い」状態を「次に何を検証するか分かる」状態へ変えるための工程です。